「SLAM DUNK」(スラムダンク)とは、高校生バスケットボールを題材とした、日本の漫画作品です。
日本だけでなく世界中にファンの多いスラムダンクは、2022年秋には映画化されることが発表されています。
そんなスラムダンクを語る上で、最強は誰なのか。一度は考えたことはありませんか?
その問いの答えに、陵南の仙道彰と、山王工業の沢北栄治は、必ず名前が挙がる2人だと思います。2人は高校生ながら、NBA(世界最高峰のバスケットボールリーグ)選手並のプレーを連発します。
高校、大学と日本トップリーグを経験し、現在は現役実業団選手である私が自身の経験をもとに、解説していきます。
結論からいうと、仙道の方が最強です。その理由を、解説していきます。
1.特徴
まず最初に、2人の人物紹介と特徴です。
▼沢北 栄治
学年 |
身長 |
体重 |
ポジション |
2年生 |
188㎝(予想) |
ー |
SF(スモールフォワード) |
昨年のインターハイの覇者、山王工業高校のエース沢北。
作中では「高校生No. 1プレイヤー」と称され、仙道が中学校時代に勝てなかった相手選手として認めています。
沢北といえば1on1です。生まれて初めてもらったおもちゃは皮のバスケットボール、裏にはバスケットボールコート。
4歳から毎朝毎晩、父親を相手に1on1を繰り返してきた沢北は、日本一の高校・山王工業に入学するも、全国には相手になる選手がいませんでした。
挑戦を求めて、インターハイ後にはアメリカへの留学が決まっています。湘北戦の後半残り10秒、2人のブロックから決めるプルアップジャンパー(ドリブルからのジャンプシュート)は、マイケル・ジョーダンを彷彿させます。
さらに、流川のダンクをブロックし、宮城、三井、赤木の3人をドリブルで抜き、桜木のブロックの上から放つフローターシュート(ヘナチョコシュート)。
流川をスティールし、ボールをスペースに投げ、「よーいドン」でルーズボール(どちらのボールでもない状況)からのスラムダンク。圧倒的な1on1スキルを魅せつけます。
▼仙道 彰
学年 |
身長 |
体重 |
ポジション |
2年生 |
190㎝ |
79kg |
SF(スモールフォワード) |
今年のインターハイ県予選の優勝候補最右翼といわれる強豪校、陵南高校のエース仙道。
作中では「天才」と称され、オフェンス、ディフェンス、全てにおいて付け入る隙のない完璧な選手です。
仙道の特徴は、オールラウンダー、つまり何でもできるところです。
1年時には1試合47得点を記録するなど、外、中どこからでも得点を量産します。
また、周りを活かすアシストが上手く、魅せるパスで観るものを魅了します。
「さあ行こうか」「まだあわてるような時間じゃない」という名言がありますが、仙道はSFでありながら、ゲームコントロールをするPG(ポイントガード)までこなすことができます。
作中では、仙道の能力を最大限引き出すポジションは、PGと評価されています。
また、作中からは、ディフェンス力の高さも垣間見えます。湘北の流川や海南の牧など、各校のエース陣が攻めあぐむシーンが当たり前のように描かれています。
また、ブロックにスティールとスタッツにも表れる活躍もしています。どこからでも得点をすることができ、ゲームコントロールをする。さらにディフェンスもトップクラス。まさに「天才」です。
2人とも日本代表クラスの実力を兼ね備えています。また、2人はバスケを、そして勝ち負けを楽しんでいるのが印象的です。
「最後にオレが勝つからだ。勝つから楽しーんだ」「やられたらやり返しゃいーんすよ。3倍にしてね」それぞれの名言が好きな方は多いと思います。
「日本一の高校生」と「天才」。
優劣はつけにくいですが、オフェンス力に加えて、リバウンドとメンタル面という、個人の実力を測るのに関係なさそうな面からも比較してみました。
また、自身のバスケットボールの経験を踏まえて、作中に描かれていないことを憶測し、リアルな面から比べてみました。
2.オフェンス力
オフェンス力は沢北の方が優れていると考えます。
オフェンス力とは、得点能力、運動能力、アシスト(周りの選手を活かすこと)など、オフェンスに関わるプレー全てを指します。
一言に得点能力といっても、湘北の流川のようなスラッシャー(ゴールに切り込んでいくこと)や、海南の神のようなシューター、湘北の赤木のようなインサイドなど、得点のとり方はいくつかのタイプがあります。
沢北と仙道は、同じタイプでスラッシャー、いわゆる、1on1から得点することが多いです。この1on1での得点能力は、沢北の方が優れているでしょう。
山王工業の堂本監督からも、日本の高校生、大学生で1on1のスキルで沢北にかなうものはいないという評価をされています。それもそのはず、4歳から毎朝毎晩、大人を相手に1on1です。
さらに、運動能力についても、作中では、今の日本の高校界ではずば抜けているという評価をされています。
しかし、どんなに1on1が最強だろうと、それだけで沢北が最強と断定できないのは、チームスポーツだからです。
また、そこがこの仙道と沢北の比較のミソになります。アシスト、パスセンスは仙道の方が優れています。
沢北は、試合中、湘北の桜木も予測していましたが、1on1で負けたことがないからパスをしない。ほとんどアシストのシーンがありません。
一方、仙道は視野の広さ、ノーマーク(フリーの味方選手)を見つける才能、ゲームメイキングの才能、そしてパスセンスを評価されています。魅せるパスで周りを活かすシーンがいくつもありました。
以上、オフェンス力については、パスセンスは仙道の方があるものの、総合的に見ると圧倒的な1on1スキルを兼ね備える沢北の方が優れていると考えます。
3.リバウンド
「リバウンドを制するものは試合を制する」これはリアルです。ミニバス(小学生バスケ)においても、世界最高峰のバスケットボールリーグNBAにおいても、同じことがいえます。
リバウンドをより多くとった方が試合に勝つ。
リバウンドとは、外れたシュートのこぼれ球を拾うことですが、リバウンドが多いということは、その分オフェンスの回数が増える、ボールを持っている時間が増えることに繋がります。
リバウンド争いにおいて、桜木のような尋常でない運動能力があることや、現実でいうと日本人の中に外国人がいたりと、身体能力や身長が高いことは有利になります。
チームでリバウンド数を増やすためには、リバウンド争いに参加させる人数を増やすことが重要です。
リバウンドに絡む選手が多いほど、リバウンドがとれる可能性は高くなります。リバウンドに絡むこと、これは個人の意識の問題です。
作中において、陵南戦のリバウンドシーンに、仙道はほとんど写っています。チームには魚住という2m超えの選手がいながら、リバウンド争いに参加する。
「リバウンドを制するものは試合を制する」ということを仙道は理解していることが見てとれます。一方、沢北は作中にリバウンドシーンはあまり描かれていませんでした。
4.メンタル面
作中から、沢北は精神的にかなり未熟なことが伺えます。
山王工業の堂本監督からも、精神的なムラがある。なにか集中力に欠けている。
と評価されています。
それゆえに、湘北戦の後半残り時間の少ない大事な場面で、桜木の謎の動きに動揺し、ミスを連発します。
一方、仙道はチームの精神面を支える大きな存在です。
オフコートでは遅刻したりだらしないですが、オンコートになると、チームメイトの冷静さを取り戻すような声がけをしたりし、チームを引っ張ります。
実際の現実にありますが、試合には出ないがキャプテンを務めている選手や、声を出すからベンチ入りできる選手など、メンタル面でチームに貢献できる選手の存在は大きいです。
仙道はプレー、言葉、両方においてその役割を担っています。
沢北はこれから成長の余地があるといえますが、現時点では仙道の方がメンタル面で上といえます。
まとめ
以上、仙道の方が最強と考える理由でした。
バスケットボールというチームスポーツにおいて、オフェンス力が勝っているから沢北の方が最強ということにはなりません。
安西監督の名言にもありますが、個人のためにチームがあるのではなく、チームのために個人がいます。
リバウンド、メンタル面を見るとチームのために、より貢献している仙道の方が上だと考えました。
賛否両論あると思いますが、一意見として捉えてもらえればと思います。
スラムダンクを読んだことがある人もない人も、この記事があなたの一助となれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。